雲龍院の由来

泉涌寺図絵

西国薬師霊場 第四十番札所 真言宗 泉涌寺派 別格本山 雲龍院

御寺泉涌寺の別院。山号は瑠璃山。雲龍院は応安五年(一三七二)後光厳天皇の御建立にして、後、同所に後円融天皇、康応元年(一三八九)龍華殿を御建立せられ、御宸翰を下して妙法写経を始められる。両帝は屡々行幸になり開山竹厳聖皐上人に聞法受戒せらる。晏駕に先立ちて剃髪染衣せられ、上人の引導を受けて背後の山に埋葬し奉ったのである。

開山上人は応永九年(一四〇二)に入寂され、応永十二年の盂蘭盆会の夜には早くも諸堂を焼失したが、二十年後には後小松天皇の行幸により、応永三十六年の頃には全安上人再建を見事に遂げている。 次いで称光天皇の崩御、後に御父後小松天皇の崩御、共に当院の聖汎上人、全安上人の奉仕によりて先代と同所に埋葬申し上げている。間もなく応仁の兵乱となり、文明二年(一四七〇)には全山焦土と化し、僅かに後光厳、後円融天皇の御尊像を残すのみとなった。併し文明十四年、後花園天皇の十三回の御国忌を雲龍院に於いて奉修し得たことは復興の事を偲ばせる。

明応八年(一四九九)後円融天皇の御影を土佐光信に画がかして勅賛を御土御門天皇にお願い申し上げ、之が今日重要文化財として保存されている。翌年、後土御門天皇崩御遊ばされ、泉涌寺に御葬送申し上げる、その御使用の御黒戸御殿は文亀二年、後柏原天皇より下賜され妙法修殿と称し写経の道場とせられたのである。戦国時代より桃山時代を経て、徳川の始め中興の祖、如周宗師が雲龍、龍華両院を合併して雲龍院のみとす、この事が御水尾天皇の叡聞に達し造営費御下賜の恩命に浴し写経の道場を現在の位置に再建せられる。たまたま寛永十九年が本願、後円融天皇二百五十回の御忌に相当するを以て御水尾天皇より写経会に要する仏具百余点の御寄付を賜りて立派に再興を遂げた。

如周和尚以後、徳川泰平の御代本願天皇の後国忌の折々に御下賜金を賜りて諸堂の修理を行い、この間鎮守堂、鐘楼等の建立がなされ東西に僧坊を設けて諸方より各宗の門徒集まり、研鑽を励み多くの俊英を輩出した。皇室との御縁故は天保十四年以降光格天皇の皇妃を始め、仁孝天皇両皇女、孝明天皇の両皇女を後山に葬り奉ってより再び深くなり玄関、方丈、勅使門を賜り次いで歴代の御尊牌を奉安する霊明殿は慶応二年に始まり、孝明天皇、明治天皇、英照皇太后の思し召しにより明治二年現存の様に再建された。

雲龍院概要

名称 御寺泉涌寺 別院 雲龍院
山号 瑠璃山
本尊 薬師如来
宗派 真言宗泉涌寺派別格本山
創建 応安5年(1372年)
開祖 後光厳天皇
所在地 〒605-0977 京都府京都市東山区泉涌寺山内町36
連絡先 TEL 075-541-3916 FAX 075-533-7150

境内ご案内

泉涌寺図絵
本堂 龍華殿

本堂 龍華殿 ●重要文化財

昭和41年に重要文化財に指定された本堂の龍華殿は、さわら材を竹の釘で打った雄大なこけら葺きで今ではたいへん貴重なものとなっています。雲龍院は、南北朝時代の後光厳天皇と三代にわたる菩提寺院で、特に後円融天皇が写経の功徳をご信奉になり、如法写経を発願され、それ以降如法写経の勤修は雲龍院に受け継がれております。
霊明殿

霊明殿

御寺泉涌寺の別院である当院は皇室と密接な関係のお寺です。後水尾天皇以降の陵墓が後山にあり、霊明殿はその皇族の位牌堂のことで、現在の建物は明治元年に孝明天皇・大宮御所・静寛院宮・各尼門跡宮からの援助を受け建立されました。内陣の中央には、北朝の後光厳天皇、後円融天皇、後小松天皇、称光天皇の御尊牌そして左側には、後水尾天皇から孝明天皇までの歴代天皇、右側には東福門院・普明照院といった江戸時代の皇子・皇女の尊牌が奉安されています。また霊明殿前には徳川慶喜寄進の石灯籠が、配置されております。
本尊 薬師如来

本尊 薬師如来

「お薬師さん」の愛称で知られる薬師如来は、瑠璃光王や大医王尊などと呼ばれることがあり、お医者様の役目を果たす現世利益の仏として親しまれてきました。当院は、西国薬師霊場第四十番札所で、藤原時代作の本尊薬師如来坐像を中心に日光・月光両菩薩を両脇に安置祀られています。
本尊 薬師如来

走る大黒天尊像

当院の台所に安置されています。鎌倉時代の作で、いつも私達が見慣れている俵の上にのり長者の貫禄をもってニコニコと笑っている大黒様とは異なり、大きな袋を背負ったわらじ履きの大黒様はとても怪奇な印象をうけます。
本尊 薬師如来

大石(内蔵助)良雄筆「龍淵」

元禄十四年(一六八八)赤穂城を退き山科に浪宅を構え閑居した大石良雄の力強い筆跡の「龍淵」の書が残っています。当院の近くに大石良雄が身を寄せていた来迎院があり、その茶室含翠軒で討ち入りの密議をしたとのことです。
本尊 薬師如来

龍華殿 写経塔

南北朝時代の後円融天皇から写経の功徳を御信奉されて以来、写経道場として信仰を集めて参りました。随時受付の本堂での御写経は、御水尾天皇より御寄進された写経机が現在もそのまま使用されています。
本尊 薬師如来

悟りの窓

書院悟之間の窓、「悟りの窓」は訪れる度に、その風景を変化させます。
本尊 薬師如来

蓮華の間

蓮華の間の障子窓を覗くと椿・灯籠・紅葉・松が見え情緒を醸しだします。

年中行事

4月上旬〜1週間程度

雲龍院春の特別拝観・夜間ライトアップ

雲龍院の春は恒例となっております「雲龍院 春の特別拝観と夜間ライトアップ」の行事から始まります。京都市内から少し山手にある雲龍院では、春の訪れが市内と比べて少し遅く訪れます。境内にはある花々が咲き誇る春薫る雲龍院は、静寂な春の空気が院内いっぱいに広がります。

また夜間拝観では、境内に照明を設置し、花が咲く庭園を中心に明るく照らされ幻想的な雰囲気を醸し出します。

期間 4月初旬〜1週間程度
毎年拝観期間が変動致しますので、別途お知らせ致します
拝観時間 【昼間拝観】午前9時00分〜午後4時30分(閉門は午後5時00分)
【夜間拝観】午後6時00分〜午後8時30分(閉門は午後9時)
拝観料金 400円 ※雲龍院境内拝観は本山泉涌寺拝観料とは別途料金となります
4月27日

如法写経会法要

後円融天皇の発願により南北朝時代から勤修されている法要。山内僧侶はじめ参列者の皆様で写経をし、天皇御陵内の供養塔に納経いたします。

写経会員様の行事となるため当日は一般の方の拝観は終日休止させていただきます

6月27日

開山忌法要

開山 竹厳聖皐(ちくがんじょうこう)上人の示寂六月二十七日に開催されます。御開山様の御威徳をお偲びし、法要を執り行います。

龍華会会員様の行事となるため当日は一般の方の拝観は終日休止させていただきます

9月中旬頃

洛東観月茶会・雲龍院お月見の会

皇室の菩提所、御寺泉涌寺別院・雲龍院は、後光厳院の思召しによって、竹厳聖皐(しょうこう)が開いた寺で、皇子・後円融院はここに如法写経の儀を興そうと寺領を寄せられました。また後小松、称光両天皇もこの寺を崇敬され、四天皇崩御の後は後山に後分骨所が営まれ、北朝歴代の御尊牌が霊明殿に奉安されています。

雲龍院お月見の会当日は、本堂にて薬師如来をご参拝いただきます。まず香で手を清め、400年近く前に後水尾天皇によって寄進された御机を使い、今年のひと文字を御写経してご奉納いただきます。悟りの間では、茶道扶桑織部流の武家点前でお抹茶をおたのしみいただきます。 点心のあと、ライトアップされた雲龍院の庭園を背景に、篠笛奏者・森田玲氏による篠笛の演奏で、中秋の静寂をおたのしみください。

期間 毎年9月の中秋の名月の頃
拝観時間 午後6時00分〜午後8時30分(雨天催行)
スケジュール 1.薬師如来参拝
2.朱墨でひと文字写経奉納
3.ライトアップの庭園鑑賞
4.お茶席(悟りの間)
5.点心
6.森田玲氏の篠笛ミニコンサート
※スケジュールは変更になる場合がございます。
11月中旬〜12月上旬頃

秋の特別拝観・夜間ライトアップ

雲龍院の紅葉シーズンは恒例となっております「雲龍院 秋の特別拝観と夜間ライトアップ」を行います。京都市内から少し山手にある雲龍院では、秋の訪れが市内と比べて少し早く訪れます。境内にあるモミジの木が鮮やかに色づく雲龍院。京都・東山の奥座敷で愉しむ極上の秋。凜とした空気と静寂が心地よい時間です。

また夜間拝観では、境内や参道に照明を設置し、庭園を中心に明るく照らされ幻想的な雰囲気を醸し出します。

期間 11月中旬〜11月下旬または12月上旬
毎年拝観期間が変動致しますので、別途お知らせ致します
拝観時間 【昼間拝観】午前9時00分〜午後4時30分(閉門は午後5時00分)
【夜間拝観】午後6時00分〜午後8時30分(閉門は午後9時)
拝観料金 400円 ※雲龍院境内拝観は本山泉涌寺拝観料とは別途料金となります
12月23日

お薬師さん御用納め ひと文字写経

年末の雲龍院は、毎年恒例行事となりました、薬師本尊御用納め「ひと文字写経法要」を執り行います。今年一年の無事御礼と新年の無病息災を祈願し、ご自身でひと文字写経にしていただいたものを、龍華殿御本尊の薬師如来に奉納していただく大切な法要でございます。ご参加は無料。ひと文字写経の文字は毎年の世相に応じて変わります。当日は、雲龍院勅使門で受付を行います。年末の慌ただしい中ではございますが、ぜひご参加くださいますようご案内申しあげます。

日時 毎年12月23日(天皇誕生日)
受付時間 午前9時00分〜午後4時00分(雲龍院勅使門前にて受付)
参加料金 無料
1月成人の日

泉涌寺七福神巡り 走り大黒天

新年の泉涌寺山内は、泉涌寺とその塔頭寺院で執り行われる「泉山七福神」で賑わいをみせます。雲龍院では、「大黒天」をお祀りして皆さまのご来院をお待ちしております。今では各地に色々な七福神巡りがありますが、「七福神」を「巡り」に整えたのは泉涌寺の「泉山七福神巡り」が始まりです。また七福神に加えて、番外として愛染明王、楊貴妃観音を加えた「九福神」をお祀り致します。福笹を持って泉涌寺山内の塔頭寺院で順次吉兆をいただいてお参りする人々で山内は大賑わいになります。

泉涌寺山内の行事となるため当日は一般の方の拝観は終日休止させていただきます。七福神巡りはどなたでもご参加可能です。

日時 毎年1月の成人の日
受付時間 午前9時00分〜午後4時00分
会場 泉涌寺山内各塔頭寺院(雲龍院は走り大黒天)
2月18日

如周僧正法要献茶式

雲龍院中興の如周僧正の栄誉を称え、僧正の示寂に開催されます。また献茶式を開き、中興に御献茶いたします。

龍華会会員様の行事となるため当日は一般の方の拝観は終日休止させていただきます

日時 2月18日
時間 午前11時00分〜(受付開始は午前10時30分)
会場 龍華殿〈本堂〉《ご参列予約申込み制》
毎月27日

写経会法要

毎月午前10時より実施。この機会に是非、貴い仏縁に際し、自らの願いの成就と、薬師如来のご加護を頂戴していただきますようご案内申し上げます。
●会員制となっております
●毎月27日以外の日でもお写経をして頂けます。お気軽にお越し下さい。

日時 毎月27日
時間 午前10時00分〜
会費 年9回:10,000円(税込)